昔は良かった、って本当か?
古市憲寿氏の『絶望の国の幸せな若者たち』が文庫化されていた。
僕が持っているのはハードカバーの方なので、そちらからの引用になるが、それの10ページにこんな小見出しがある。
1980年の若者になりたいか?
以下、ほんの一部を要約する。
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当時のエアコン所有率9.9%、電気洗濯機57.3%、掃除機47.9%。
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白黒テレビで我慢してる人がまだけっこういた(21.5%)。
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大卒初任給12万円で、ガソリン1リットル155円。
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ゲームがない。ほとんどない。せいぜいスペースインベーダーどまり。
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携帯電話もない。
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固定電話はあるが、電話代がめちゃくちゃ高かった。アメリカまでたった3分で3200円。今ならスカイプで時間無制限0円。
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コンビニもごく少なく、あっても機能限定。ATMなんてない。
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etc...
ぼくはこれを読みながら、
「そうそう、そうだったんだよなあ」
「よく、こんな環境でやってたよなあ(笑)」
と深くうなずきながら思い返すことになった。
ぼくはこの時期はようやく物心つくかつかないかくらいだが、それでも当時の時代の空気感みたいなものはなんとなく心象に残っている。
なにより、今との決定的な違い。
インターネットがなかったことだ。
ティーンネイジャーなんかと話していると、
「ネットがなくてどうやって生きていたの?」
みたいなことを真顔で聞かれる。
だが、思い返すと、確かにその通りなのだ。
よくあれで、不自由ない(と当時は思っていた)生活を送れていたものだ。今振り返ってしみじみ実感する。
メール連絡なんて取れない、記録は紙ベースがほとんど、買い物となれば平日の昼間にできるだけ物資を買い込んでくるしかない。
そんな時代がたしかにあった。
それも、実感としては、そんなに前でもない。
ほんの90年代までは、今とはまるで今別世界だったのだ。
ブログを始めようと思ったきっかけのひとつは、そういう時代を振り返ったドキュメントを書きたくなったことが、動機として割と大きかったりする。